Lottery「くじ」Shirley Jackson

Lottery by Shirley Jackson

どんなに陰惨な殺人事件を描写したストーリーであれ、悲劇であれ、その理由と結果がはっきりすれば、心が落ち着いて何とか最後のページを迎えられるものだ。日々、報道される様々な事件も真実かどうかは別として理由、原因が探し出され、結末が伝えられると安心して忘れて行く。

この物語はそのうちの一つも知らせてくれない。人間が持つ暗い部分を示唆するだけで終わる。

あらすじ

アメリカの小さな村、住人は300人程度。草木も緑に満ちる6月27日の午前中、人々は村の中央に三々五々集まり始め、子供たちは石を集めている。毎年行われる「The Lottery くじ」のためだ。誰もが無料でこのくじに参加できる。と言うよりは、誰も基本的にくじを引かないことは許されない。

人々が集まると、村の中心人物というか有力者 (Mr. Summers) が「黒い箱」を運びだしてくる。この箱は何時頃から使われているのか、また、くじ、そのものが何の目的で行われているのかも、はっきりしないが、黒が薄れて目地が現われいるところを見ると、かなり古いものだとわかる。一人だけ、ハッチンソン家のテシーが遅れて着く。彼女は「すっかり、この日を忘れちゃってた」と笑いながら言う。

その中心人物は「早く終わらせてしまおう。そうすれば仕事に戻れる(日常に戻れる。ランチにも間に合う)」というような事を言う。手にしたのは、村の家族のリストだ。家族の苗字が読み上げられると、その家長か、家長がいなければ長男が黒い箱に進み出て、箱の中から一枚だけ紙を取り出すのだが、

「いいと言うまでは折りたたんだままで、紙を開いちゃだめだ」

と注意がある。全部の家族が引き終えると、紙を開くよう言われる。結果はハッチンソン家が引いた。紙に黒丸が書かれていたのだ。

奥さんのテシーは喜ぶ代わりに、
“It’s not fair.”「公平なやりかたじゃないわ、だって、ビルがじっくりと選ぶ時間をくれなかったじゃない」
と不平を言う。すると、
“Be a good sport.”「(黒丸のくじをひいたことを)潔く認めなさいよ」
と友人には言われるし、夫であるビルには、
「黙れ」
とまで言われてしまう。
次のラウンドはハッチンソン家の5人が順番に一人ずつくじをひくのだ。小さい、息子にはくじを引くのを手伝ってくれる人がいるし、娘の友達は、
「彼女がひかなきゃいいんだけど」と囁く。
再び黒い箱には5枚の紙が入れられて、息子が引く時には、
「一枚だけだぞ」
とMr. Summersは冗談を言う。小さい彼には、その意味は分からなかったかもしれない。
テシーが黒丸のついた紙を引いていた。
村人は一斉に石を掴み、テシーの息子には手に持てるような小さな石が渡され、先ほどまで一緒に話をしていた女性は抱えられないような大きな石を手にしてテシーに向かって行く。
“It’s unfair”と声を上げるテシーに村人が一斉に向かって行くところで終わる。
上げきれない程の、人間の不気味さを含んでいる。