ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(3)」

男のロマン、酒造り


2015-03-29 14.59.03

お酒を造って売るのは男のロマンなのだろうか。趣味で始めたジンを売り出して成功した地質学者がいるかと思えば、ヘアケア製品と美容学校の経営でリッチになった地元の有名人はメキシコでテキーラの生産に乗り出した。ハイテク会社に勤務する友人はビールやハニーリカーを作って友達に振舞ったら(私も振る舞われた人の一人)大好評だったため、勢い付いて同僚と資金を出し合って酒場を開いてしまった。

クラフト醸造、蒸留酒ブームに刺激されたか、和食人気を好機と見たのか、テキサス大学出身のアメリカ人の若者が日本で酒造りの修行をした後、ラマー通りの一角にテキサス酒造の蔵を構えた。4年前の蔵出しのパーティーで、その杜氏と話したら、日本の文化や歴史にも詳しい好青年だった。

「テキサスの米作は日本人が紹介した種のお陰で広まったのです。 僕はそのテキサス米を原料に、バーベーキューと一緒に飲めるパワフルな日本酒を作りたいのです」と大きなステンレスのタンクを背にして説明した。一本34ドルとかなり高価だったのだが、応援も兼ねて、家で手巻き寿司パーティーをする時のために買った。度々メディアにも取り上げられて、順調にビジネスを続けているのだろうと彼の事は忘れかけていたら、「健康上の理由」で蔵を閉めるというEメールが去年届いた。あのタンクや醸造器具はどうするのだろうと他人事ながら心配していたら、程なく蔵と醸造器具、それにブランドを買い取る人が現れた。

最近、その新オーナーが手がけたお酒の販売準備をしている時に、試飲をするチャンスがあった。「私は普通のアメリカ人が飲める日本酒を手頃な値段で売りたい。そのためには、流通の確保が必要で、今、パートナーが交渉を進めています」と話した。ITビジネスを長くやってきた彼は売るためのシステムから攻めて行く事にしたのだろう。お酒で人を喜ばすだけではなく、新しい分野に踏み出すという点にロマンを見つけたのかもしれない。