ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(8)」

フットボール未亡人

秋風が吹き始めるとアメリカでは未亡人が増えます。殊にテキサスではその数が少なくない筈。それなのに人口学者や社会学者が騒がないのは、翌年の春には亡くなった筈の伴侶が蘇生して戻ってくるからでしょうか。

その一時的未亡人は「フットボール未亡人(football widow )」と呼ばれます。9月前後から始まるフットボールシーズンの週末毎にビール瓶を手にテレビの前から動かないパートナーに、「しょうがないわねーもう。一人暮らしの方がましかも」と、彼女たちは冷ややかな視線を投げかけます。

football widowには、男の気持ちを解せない女の諦めが漂っていて、互いに踏み込めない男の世界対女の世界があるようにも聞こえます。ところが、実際に高校や大学のゲームを応援に行くと、観客席は男女半々で埋まっています。スポーツパブなども、決して男ばかりではなく、女性客も沢山います(私もそのうちの一人)。フットボール未亡人たちにしても、きっと、高校の頃にはチアリーダーをしたり、マーチングバンドのメンバーで「ゲームを観るのは嫌いじゃないけど、私の言うことも少しは聞いてよ。あなた、私より、怪我をしたプロ選手の方が気になるの?」と言うような状況ではないでしょうか。熱狂的なファンは「ごめん、そう、あいつがいないと、、、」答えるかもしれませんね。

2013-10-04 20.45.19 - Homecoming Court and Fathers2013-10-04 19.29.37ある年、思い立って、テキサスのキャメロンという小さな町の高校の試合を観に行ったことがあります。丁度その日は卒業生が集まるホームカミングの日でロングドレスの女生徒を盛装した父親たちがエスコートしていました。ピチッとアイロンをしたジーンズ、カウボーイブーツ、ループタイ、カウボーイハット姿です。老年の卒業生が一等席を占めていて、町を挙げてのお祭りで、オースティン界隈では見られない光景でした。そういう町でのゲームを観た後、息子や夫とビールを飲みながら作戦やデータの話をしていると、テキサスのひらめ、というよりはテキサスのオヤジになったようです。わくわくする季節です。