ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(12)」

サンアントニオで落語
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古今亭菊志んさんによるに第5回落語公演会はテキサス大学サンアントニオ校で開催されました。講堂に入ると、トントンチントト ヒュー ストトントンとお囃子が聞こえて、ステージ中央には赤い布で包まれた台と紫の座布団が置かれて、開始の知らせを待つばかり。私が噺家なら、

「人間というもんは五感の方が頭より先に動くんでございまして、イカ焼きの匂いを嗅げば秋祭り。おっかさんに『買っておくれ~』とせがんで怒られた事が思い浮かぶんでございます。また、この、お囃子が聞こえてくれば、それはもうテキサスにいることなんぞ忘れて昭和の日本に戻ってしまうんでございます」

と話したと思うのですが、壇上に現われた菊志んさんは、アメリカのホテルに滞在中、電話で水(ウォラー)を頼んだらバター(バラー)が届いたという話で一先ず笑わせてから古典落語の「時そば」に入りました。

 

観客の中には日本人小学生が沢山います。江戸が舞台の話を分かるのだろうかと思ったのですが、菊志んさんが扇子を箸に見立てて手に持ち「ハフハッフ、ズズーッ」とソバを啜る度に度に体を揺すって喜びます。なるほど、子供はこういう楽しみ方をするのかと感心しました。

「そうなんでございますよ。言葉より体全 体から発する勢いというものを子供は感じ 取るんで、はい、こちらも真剣なんです」

と噺家さんは、その事を説明されるか もしれません。カナダ人の落語家、桂三輝(サンシャイン)さんの 公演でも同様の体験をしまし た 。観 客 の 大 半 は 学 生 で 、あ る程度の日本語は知ってい ま し た 。し か し「 じ ゅ げ む じ ゅげむごこうのすりきれ」が 分かるとはとても考えられませ ん 。そ れ が 、話 が 進 む う ち に 、 皆 、 大 声 を 立 て て 笑 う の で す 。

「 で 、日本人はてーと申しますと、三輝さんの『じゅ げむじゅげむ』が、あまりに上手で金髪の噺 家さんがそこに居る事は忘れてしまうんで ございます。こうして日本から遠く離れて も落語が聞けるんですから、それはもう有 り難い世の中でございます」