Category Archives: Columns

ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(10)」

日本語を勉強するテキサスの学生

テキサス大学で日本語を教えておられる知り合いから、「学生の日本語インタビューに答えてくれるボランティアを探しています」とメールが届いたので、手を挙げて出かけて行った。

2015-10-30 15.35.25アニメと書かれたテーブルに着くと、自己紹介の後、一人の学生が、日本語で

「アニメは好きですか?」

「秋葉原のイメージは何ですか?」

と次々に聞いた。

「メイドカフェとオタク」

と答えると、3人の男子学生は、してやったりという風に顔を見合わせて笑った。インタビューを主導したのは、長髪の自称「アニメオタク」で、残りの二人は私が 言った答えを書き取った。メ、メ、え〜とメイドとか言い、一字ずつ声に出し、カタカナを思い出しながら

次の質問は難しかった。

「萌えアニメについてどう思いますか?」

と聞かれても、「萌え」の知識がないので答えようがなかった。

「萌えがどういうものか分からないので、答えられない」

と言うと、3人は困ったような顔をして、

「子供の時にアニメを見ましたか?」

と質問を変えた。

「はい、見ました」

「それはどういうアニメでしたか?」

「鉄腕アトムです」

と答えると、3人で、「Astro boyのことだろう」と英語で話し合った。

「それは何がおもしろかったですか?」

と再び日本語になって、最後に

「アニメは日本社会に役立ちますか?」

と大きな質問になった。

「はい役立ちます。外国との文化交流に役立って、とても良いことだと思います」

と締めて、このテーブルのインタビューは終わった。

日本料理、日本での英語教育、大学入試などをテーマとするインタビューテーブルも次々に回った。食べ物については比較的簡単な質問で、答えも簡単だったが、大学入試などについては、質問の文章は簡単でも、真面目に答えようとすると、「いいえ。はい。何故なら」とは済ませられずに天井を向いて暫く沈黙した。

学生の方は「そんなに深刻にならずに早く答えてよ、金曜日の夕方、これから忙しいんだし」と内心思っていたかもしれない。それにしても、ゼロから始めて3年目でインタビューができるようになるのだから素晴らしい。若い柔らかい頭が羨ましい。

 

 

ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(9)」

人がワニとヘビを食う

「ワニがヘビを食う」「ヘビがワニを食う(丸呑みする)」という動画があります。人が「ワニとヘビを食った」という話もあります。その両方を食ったのは私ですが、戦っている二匹を一挙に仕留めて食ってしまったわけではなく、ガラガラヘビはテキサスの自宅で、ワニは、サウスカロライナ州のチャールストンのレストランで食べました。どんな味だと思いますか?

ガラガラヘビには、良い思い出ではありません。三人の子供がまだ小さい時、夫が友人達と起業をして金銭的にとても苦しい時期がありました。私は、明るく振る舞いながらも、陰で財布の中身を数えるような生活をしていました。そういう私に、ある日、夫が「はい、お土産!」と冷凍の皮を剥かれたガラガラヘビを差し出しました。

「ヘビ嫌いの私に、しかも、食べられる部分が少ないモノを買ってきて!」

と怒ると、

「可笑しがると思った」

と残念そうに言います。私は笑えずに、泣きました。体を貫く骨の両側に細いひものようにへばり付いている肉は、同じ体形でもウナギのようではなく、鶏肉のような食感です。二度と口にしたくはありません。

そういう出来事は覚えていない末っ子が最近、「三日続きの休みが取れるから遊びに来て」と誘ってくれたので、喜び勇んでチャールストンに飛びました。南部の海に面した湿っぽい場所柄のせいか、パステルカラーの細めのバーミューダショーツにポロシャツやワイシャツを着た男性と、綺麗なサマードレス姿の女性が目につきます。英国文化の影響が残っているのでしょうか。ブランチに行くのに、息子もショーツにワイシャツ、ヨット用の靴を履いて、カジュアルな姿でホテルに現れました。

2015-09-05 11.19.11 HDR - Poogan's Porch2015-09-05 10.34.29 - Alligator古い建物を改造したレストランのメニューにワニの揚げ物を見つけて、「その辺りの沼地で見つけたワニかしら」などど、冗談を言いながらピリ辛ソースと一緒に食べてみたら、仔牛とチキンが混じったような食感で、事前に知らされなければ、自分がワニを食べているとは 分からないと思いました。ガラガラヘビより、ワニの方が美味しいです。

 

ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(8)」

フットボール未亡人

秋風が吹き始めるとアメリカでは未亡人が増えます。殊にテキサスではその数が少なくない筈。それなのに人口学者や社会学者が騒がないのは、翌年の春には亡くなった筈の伴侶が蘇生して戻ってくるからでしょうか。

その一時的未亡人は「フットボール未亡人(football widow )」と呼ばれます。9月前後から始まるフットボールシーズンの週末毎にビール瓶を手にテレビの前から動かないパートナーに、「しょうがないわねーもう。一人暮らしの方がましかも」と、彼女たちは冷ややかな視線を投げかけます。

football widowには、男の気持ちを解せない女の諦めが漂っていて、互いに踏み込めない男の世界対女の世界があるようにも聞こえます。ところが、実際に高校や大学のゲームを応援に行くと、観客席は男女半々で埋まっています。スポーツパブなども、決して男ばかりではなく、女性客も沢山います(私もそのうちの一人)。フットボール未亡人たちにしても、きっと、高校の頃にはチアリーダーをしたり、マーチングバンドのメンバーで「ゲームを観るのは嫌いじゃないけど、私の言うことも少しは聞いてよ。あなた、私より、怪我をしたプロ選手の方が気になるの?」と言うような状況ではないでしょうか。熱狂的なファンは「ごめん、そう、あいつがいないと、、、」答えるかもしれませんね。

2013-10-04 20.45.19 - Homecoming Court and Fathers2013-10-04 19.29.37ある年、思い立って、テキサスのキャメロンという小さな町の高校の試合を観に行ったことがあります。丁度その日は卒業生が集まるホームカミングの日でロングドレスの女生徒を盛装した父親たちがエスコートしていました。ピチッとアイロンをしたジーンズ、カウボーイブーツ、ループタイ、カウボーイハット姿です。老年の卒業生が一等席を占めていて、町を挙げてのお祭りで、オースティン界隈では見られない光景でした。そういう町でのゲームを観た後、息子や夫とビールを飲みながら作戦やデータの話をしていると、テキサスのひらめ、というよりはテキサスのオヤジになったようです。わくわくする季節です。