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映画 The Help

 

The Help 2011

The Help 2011

公開2011年 監督・脚本 Tate Taylor

公開されてから5年も関心を持たずにいたのが悔やまれた。

 

 

 

 

 

ブルシット! Bullshit!

ブルシット! Bullshit!

映画やアメリカ人の会話の中にしばしば現れるshitに興味を持って聞き取り調査を始めたのが2年前の2014年。表現の数々を集め、イラストを加えて「ブルシット!Bullshiti!」という本に仕上げた。今まで観た映画の中から

bullshit

When shit hit the fan

Nobody gives a shit

やその他、代表的なshit表現の出てくる映画を本で取り上げたのだが、もしThe Helpを観ていたら確実にリストに加えた。なぜなら

“Eat my shit.”「私のクソを喰らえ」

という短かい命令文が、物語全体の要のように使われているからだ。

黒人メイドのミニーは、人種差別を当然とし権力を振るう若い白人女性ヒリーに対して、ダビデがゴリアテに放った石のようにこの言葉を発した。

背景

舞台は1963年のミシシッピ州のジャクソン。アメリカが大きく変わろうとしていた時期だ。

ワシントンD.C.でマーチン・ルーサー・キング牧師による大行進があり、公民権運動が大きなうねりとなっていた。ケネディー大統領がCivil Rights(公民権)を議会で演説し、人種隔離の撤廃や公民権制定を求めていた。当然のことだが、ミシシッピを含む南部諸州はそれに反対した。そして、その年63年にケネディー大統領はダラスで暗殺され、法制定の任を引き継いだジョンソン大統領が翌年、公民権法に署名をした。

ミニーの友達で同じ黒人メイドのエイビリーンの家にはケネディー大統領、キング牧師、それに息子の写真がかかっている。

あらすじ

白人で裕福な家柄の出であるスキーターはOle Miss (University of Mississippi ミシシッピ大学)を出たばかり。ジャーナリストを志望していた。自分を育ててくれた黒人メイドの行方を母親に聞くがはっきりした答えは得られない。一方、彼女はジャクソンに住む友人たちの黒人メイドへの理不尽な扱いに腹を立てていた。そして、本物のジャーナリストになるためにも、メイドの目を通して人種差別の実態を暴いた本を書くことにした。スクーターに説得されたエイベリーンとミニーは、不承不承ながら体験を語る役目を引き受けるが、次第にプロジェクトに積極的に加わって、他の黒人メイドも引き込んで行った。

メイドからの十分な証言、いなくなったメイドの母からの証言を取り本の完成が近づいたものの、出版されると、ジャクソンの誰が話題になっているのかが分かってしまい、身の危険がある。そこでミニーが「保険策」の提案をした。

町の社交界の仲間を牛耳っているヒリーは メイドに家族と同じ屋内のトイレを使わせない運動を展開していた。ある日、ミニーは嵐の真っ只中、メイド用の外のトイレを使うことを拒否してヒリーに解雇された。後日、料理上手な彼女はミニーにチョコレートパイを作って陳謝の意を表するために出かけた。ヒリーは散々嫌味を言ったが、喜んで2切れも食べた。

そのパイの中に何が入っていたのか…

そして、それがなぜ保険策なのか…

人種を超えた女性同士の友情、信頼、また、親子の情などで物語が構成されており、温かい気持ちで観終えることができる。

その他

アアパルトヘイトのような人種差別が法的にアメリカで禁止されてからたったの50年しか経っていない。法で有色人種の人権が守られるようになったのは東京オリンピックの年だ。人種問題は危ういバランスの上に立っている。

Mississippi Burning

Mississippi Burning

 

この年、白人の公民権運動家がミシシッピ州で殺されているが、それを題材にしたMississippi Burningは手に汗握る系のサスペンス劇である。それが下地にあったために、The Helpを避けていたのかもしれない。