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本 「哲学のなぐさめ」アラン•ドボトン

The consolations of Philosophy by Alain de Botton , 2000

consolations

 

生きていればいろいろ厄介で辛い事が起きる。余程の楽観主義者か、達観した人でもない限り落ち込む。そんな時に、怠けがちな自己を駆り立てて、「凡人の君を達人に変える」「道は開ける。道を開こう」というよう自己啓発的な本の代わりに、哲学者からの英知を借りた「慰め本」はどうだろうか。

 

 

The consolations of Philosophy (哲学のなぐさめ)は

ソクラテス

エピクロス

セネカ

モンテーニュ

ショーペンハウアー

ニーチェ

の哲学や人生を通して、

もてない、人気がない、お金がない、大事な時に体がいう事をきいてくれない、自分には能力が欠けている等々、普通人の日常の悩みを

「こういう風に考えればいいんじゃないか、この哲学者は、あなたと同様の状況でこう考えたんだ」

と(優しく)説いてくれる。読み物としても面白いが、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語と一緒の英語は読みやすくはなく、読んだ途端に忘れてしまうことが多かった。しかし、

「お金をいくら持っても幸せにはなれない。友達や恵まれた人間関係が幸福と大いに関係がある」というような事を説いたエピクロスは紀元前ギリシャ時代で既に幸福論を説いていたことが分かり、彼について語られる酒池肉林的な快楽主義は彼の求めていたことではなかった。むしろ、老荘的なミニマリスティックな平穏な心の快を追及したことが分かる。

また、いかにも難しそうな事を考えていたと思えるショーペンハウアーが、引きこもり的で、今でいうピープルスキルに悩み、愛を求めていた人だったとも読める。43歳の時に、17歳の美しく闊達な少女に惹かれて、パーティーで白ブドウをあげると、

「ムカついたわ、あんな年寄りのショーペンハウアーが触ったブドウなんて」と少女が日記に書いたというから、それはあまりに哀れではないか。全体を流れるペシミスティックな哲学は彼自身の左脳から来たものであろうが、先に右脳が随分と辛い思いをしたからだろうと想像できる。そうした、個々のストーリーを読みながら、哲学の入門書として読むのも良いのではないだろうか。

がっかりすることの多い結婚生活なども、この本によって考え方を変えて、期待値を下げれば、リラックスできるようになるかもしれない。