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ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(番外編)」

chiken shit bingoテキサス便りも、この番外編で最後となりました。読み返してみると、食べもの、家族、友人のことばかりです。最後に、私が顔を出したテキサスならではの珍奇なイベント“Chicken Shit Bingo”の話を。

それはオースティン市内の古いバーで行われたビンゴの一種で、混み合ったホールの隅に置かれた鶏のケージが使われます。床には1から50の番号が振られていてそこへ満腹顔の鶏が登場。もうお分かりでしょう、どの番号の上に鶏が糞をするか、2ドルの券を買って賭けるのです。ウンの強い客は50人から集めた100ドルを独り占めできます。残念ながら私はビールを片手に鶏に”Shit! Shit! (クソをしろ!)“と他の客と一緒に叫ぶだけに終わりましたが、愉快な体験でした。

 

 

91bBJ3WXlnL._SL1500_私ごとになりますが、私は「ブルシット!Bullshit!」という題の語学エッセーの本を出版したばかりでした。みんな、やたら「シット」(クソッたれ)と言うのに関心を持ったからです。それで「シット」にはとても親近感があったのです。

escape to ausitnその後2冊目の本「Cooper’s Adventures, Escape to Austinを出しました。家族の一員だった猫に愛を込めて作った日英バイリンガル絵本です。どちらもテキサスの暮らしと家族がベースになりました。

私の見聞録が決め手となったわけではないでしょうが、夏に全日空がヒューストンに、秋には日本航空がダラスに直行便を飛ばし始めました。もうテキサスは遠くありません。皆様のお越しをお待ちしております。

ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(12)」

サンアントニオで落語
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古今亭菊志んさんによるに第5回落語公演会はテキサス大学サンアントニオ校で開催されました。講堂に入ると、トントンチントト ヒュー ストトントンとお囃子が聞こえて、ステージ中央には赤い布で包まれた台と紫の座布団が置かれて、開始の知らせを待つばかり。私が噺家なら、

「人間というもんは五感の方が頭より先に動くんでございまして、イカ焼きの匂いを嗅げば秋祭り。おっかさんに『買っておくれ~』とせがんで怒られた事が思い浮かぶんでございます。また、この、お囃子が聞こえてくれば、それはもうテキサスにいることなんぞ忘れて昭和の日本に戻ってしまうんでございます」

と話したと思うのですが、壇上に現われた菊志んさんは、アメリカのホテルに滞在中、電話で水(ウォラー)を頼んだらバター(バラー)が届いたという話で一先ず笑わせてから古典落語の「時そば」に入りました。

 

観客の中には日本人小学生が沢山います。江戸が舞台の話を分かるのだろうかと思ったのですが、菊志んさんが扇子を箸に見立てて手に持ち「ハフハッフ、ズズーッ」とソバを啜る度に度に体を揺すって喜びます。なるほど、子供はこういう楽しみ方をするのかと感心しました。

「そうなんでございますよ。言葉より体全 体から発する勢いというものを子供は感じ 取るんで、はい、こちらも真剣なんです」

と噺家さんは、その事を説明されるか もしれません。カナダ人の落語家、桂三輝(サンシャイン)さんの 公演でも同様の体験をしまし た 。観 客 の 大 半 は 学 生 で 、あ る程度の日本語は知ってい ま し た 。し か し「 じ ゅ げ む じ ゅげむごこうのすりきれ」が 分かるとはとても考えられませ ん 。そ れ が 、話 が 進 む う ち に 、 皆 、 大 声 を 立 て て 笑 う の で す 。

「 で 、日本人はてーと申しますと、三輝さんの『じゅ げむじゅげむ』が、あまりに上手で金髪の噺 家さんがそこに居る事は忘れてしまうんで ございます。こうして日本から遠く離れて も落語が聞けるんですから、それはもう有 り難い世の中でございます」

ASA 我が街かわら版 「ひらめが見たテキサス(11)」

happy new year message
過ぎ行く時間と新鮮な驚き

今頃は年末の行事を終えて、ゆったりと新年の訪れを待っていらっしゃるところでしょうか。どのような一年を過ごされましたか?

「あっと言う間に過ぎてしまったなあ」と、仰る方が多いのではないでしょうか。

年取るほど過ぎ行く時間が早く感じられると言います。感覚的に、確かに私もそう思います。「5歳の子供が感じる1年は、50歳の人が感じる10年分に当たるらしいです」とも言われます。そう言われてもピンと来ませんが、過去の時間の感じ方について研究したフランス人がいて、その成果はジャネーの法則と呼ばれいると、最近知りました。彼が、理論を確立するために、5歳の子に、

「ちょっと座って。一年を振り返って、何を覚えている?一年は長かった、短かった?」と聞いたのでしょうかね。もっとも

「新鮮な驚きに満ちた毎日だった。怒られている時を除いて、まずまずの充実した時間を過ごした、だから僕にとって一年は結構長かったと思うよ。おじさんは、毎日マンネリ化した同じ事を繰り返しているから、一年が短かかったでしょう」

と答えたとは思えません。多分

「そんなの、わかんな〜い。もう行っていい?」

と子供は答えたと思うのですが、彼は5歳と50歳を例に挙げて、10倍違う時間の長短の感じ方を説明しています。

私の一年は羽田で始まりました。シンガポールからアメリカへの帰り道、乗り換えの6時間半をかわら版編集長の間山さんと羽田空港で過ごしました。あんみつを食べた後、別れ際に「テキサスの暮らしをかわら版に書きませんか?」と聞かれて「よし、800字の挑戦をするぞ」と自分に言い聞かせて、お引き受けしました。

毎月一回、題材を探しました。折々の風景の中で、子供が小さかった頃の驚きと喜び、また、苦しい体験なども思い出しながら過去を何度も訪れました。短くもあり、長くも感じた一年でした。これから迎える新年、皆様と共に5歳の子供が見る目を持って、新鮮な驚きを生活のコーナーに見つけて暮らしたいと思います。

A Happy New Year!