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Denializm by Michael Specter

20160729_134630~2Denialism by Michael Specter 2009

MMR – Measles (はしか)、Mumps (おたふく風邪)、Rubella (風疹) の混合ワクチンは自閉症とは関係ないし、ワクチンは効果的だ

地球温暖化は起きている

有機農産物ばかりが地球に優しい、体に優しい食べ物とは決して言えない

バイオエンジニア達が遺伝子操作による難病治癒の研究をしている

等々を例に挙げて、社会に影響を及ぼすような事象を科学的に理解しようとしない人がいて困ったものだ、と延々と説明している。そうした人々は、答えは初めから分かっているし、聞きたくないものは聞かないという態度で耳を傾け話し合うことを拒否する。

自分の体験、身近な人の逸話などの方が、そうしたエライ人の研究調査より、(感情的に)ぴったり来る。答えが曖昧ではなく、善悪、白黒がついて分かりやく、自分の好きなものには例えデマゴーグであっても付いて行ってしまう。殊に、子供や健康に関するものであれば尚更だ。

ページを大きく割いているのがイギリス人の医者Andrew Wakefieldが1998年に「ワクチンが自閉症を引き起こす」と医学ジャーナルに発表して社会的大問題に発展したケースである。

我が子をその危険にさらしたくない親たちが、子供のワクチン接種を拒否して逆に伝染病が裕福な地域で起きたりした。後に、その研究を発表した医療ジャーナルLancetが間違いを発表して、英国がWakefieldの免許を剥奪しても、未だにそれを信じる人が後を絶たない。

私は前にテキサス州のオースティンに住んでいたのが、その同じ人Andrew Wakefieldがオースティンで一番裕福な人が集まる居住区に住んでいるとテレビのインタビュー番組で知った。道徳的に許せない研究をしたと言え、その人を慕い、その人の言うことを聞いて財政的サポートをするがいるわけで、それには驚いたし、嫌な気分がした。原因の分からない症状を持つ子供を持つ親が藁にもすがりたい気持ちはわかるが、似非宗教リーダーに身を預けようとするのは間違っているのではないか。

また、拒絶者グループの中には薬品会社の利益至上主義を政府が助長している、と陰謀説を唱える人もいる。

一つ一つの話題が、そうだよな、でも自分も含めて科学的でない人の気持ちも分かると揺らぐのが現代人ではないだろうか。

日々の暮らしの中で高度な専門分野の教育を受けなければ会話にも参加できないような問題が増えている。そういう時に自分にとって部が悪かったりした場合にもクールな頭で、人類にとって、社会にとって良い答えを出そうとする人間がどのくらいいるだろうか。この本は、そのあたりの疑問と答えは出してくれない。実はそれを期待して読んだのだけれど。

相手の考え、言い分を聞かずに頭ごなしに否定する態度は大統領選挙が行われる2016年現在、アメリカ社会に蔓延している。困ったどころではなく、危険とも言える。2008年に大統領選後に、マッケーン上院議員が素晴らしい「敗者の演説」をしたけれども、今回はどのようになるだろうか。