映画 犬が島(Isle of Dogs)
映画 犬が島(Isle of Dogs) 好きでした。おすすめです。
あらすじ 近未来の日本。犬インフルエンザが蔓延したメガ崎市の小林市長は犬を昔の東京湾ゴミ捨て場だった「夢の島」みたいな島に犬を隔離する方針を出す。そして、そこに送られてしまった愛犬を探しに小林市長の養子アタリが小型飛行機に乗って出かける。そこで知り合った嘗ては素敵な暮らしをしていた犬や、そうでもないヒストリーを持った犬たちと共に腐敗した権力に立ち向かう。
メガ崎などという場所は日本には存在しない。茅ケ崎ならあるけれど。アタリなどという名前を子供につける親もいない。もしかしたら1%くらいの確立で宝くじ狂、初期のビデオゲーム狂の親が名付けるかもしれないが。私はこの映画の始まりに出てきた地名の書かれ方に惹かれた。 縦に二文字一緒にされたメガは「希」に何となく似ていて視覚的語呂合わせかと思えた。
想像上の日本が舞台なのだが、それは日本人による想像ではなく、ウェス•アンダーソン監督をはじめとするアメリカ人によるものだ。それも、長らく一緒に映画を作ってきた人たちと原案を練ったはずで、そのうちの一人にJason Schwartzman ( ジェイソン•シュワルツマン)がいる。彼はRushmore(1998年)というアンダーソンの初期の映画にビル•マーレイと共に出演し、その後も The Darjeeling Limited, The Grand Budapest Hotel, Fantastic Mr. Fox などに参加している。
アンダーソンが尊敬して影響を受けたと言われている黒澤明監督がお決まりの俳優を揃えて映画を作り続け「黒澤組」などと呼ばれることがあったが、アンダーソンも同様に気ごころの知れた人たちと丁寧に映画を作っているという感じがする。この映画も様々なシーンで監督やアニメーターがオタク的に日本を観察したことが分かり、それを観るのも興味深い。 リチャード•リンクレーターと共に、アンダーソン監督はテキサス州と縁が深く、そのため、私も自然、彼らの映画に注意を払うようになった。
ところで同行者は私が「間違いが多い。これは日本文化を盗用した(cultural appropriation)とんでもないアニメだ」と怒って家庭内で文化の日米衝突が起きたらヤバいぞと危惧していたらしい。私はユーモア、風刺も含めて大いに楽しんだ。